「技術・人文知識・国際業務」ビザが許可されるための要件その1について説明いたします。
(要件その2は→こちら

入管法別表第一の二表の「技術・人文知識・国際業務」
 
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで及び企業内転勤の項から興行の項までの下欄に掲げる活動を除く。)

 

人文科学の分野とは

法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野とは、文化系分野のことを指します。

例えば、語学、文学、哲学、教育学、心理学、社会学、地域研究、基礎法学、公法学、国際関係法学、民事法学、刑事法学、社会法学、政治学、経済理論、経済政策、国際経済、経済史、財政学、商学、経営学、会計学、経済統計学などです。

これらに限らず、広く文化系の分野全般をいいます。

 

人文知識の活動類型

「人文知識」の活動とは、人文科学の分野に属する知識を必要とする業務です。

例えば、経理、金融、営業、総務、会計、コンサルタント、コンピューターソフトウェア開発などです。

『知識を必要とする』とは、単純就労ではなく、一定水準以上の知識やスキルを必要とする業務をいいます。

したがって、申請しようとする業務が単純労働の場合は「技術・人文知識・国際業務」ビザが許可されません。

なお、将来の幹部候補生として採用する場合に、仕事をおぼえてもらうために最初の機関だけ単純労働をする必要がある場合や、業務の中で一時的に単純労働をしなければならない業務に採用する場合などは、単純労働が主な仕事ではないことを立証することで、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得することは可能です。

 

国際業務の活動類型

「国際業務」の活動とは外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務をいいます。

これは、一般の日本人がもっていない外国の文化に基づく思考や感受性を必要とする業務で、単に外国人であるというだけではなく、一定水準以上の専門的能力を必要とする業務とされています。

例えば、翻訳、通訳、語学指導、デザイナー、広報などの業務です。

ビザ申請にあたっては、その業務が外国人特有の文化に基づく思考や感性を必要とする業務であることと、申請する外国人にその思考や感性があり一定の専門的能力があることを立証します。

 

技術の活動類型(自然科学の分野)

「技術」の活動とは、自然科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務をいいます。

自然科学の分野とは、数理科学、物理科学、化学、生物科学、人類学、地質科学、地理学、地球物理学、科学教育、統計学、情報学、核化学、基礎工学、応用物理学、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、土木工学、建築学、金属工学、応用化学、資源開発工学、造船学、計測・制御工学、化学工学、航空宇宙工学、原子力工学、経営工学、農学、農芸工学、林学、水産学、農業経済学、農業工学、畜産学、獣医学、蚕糸学、家政学、地域農学、農業総合科学、生理科学、病理科学、内科系科学、外科系科学、社会医学、歯科学、薬科学等の分野とされ、これらに限らず広く理科系の分野全般をいいます。

自然科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務とは、上記自然科学の分野のどれかに関する技術や知識がなければできない一定水準以上の業務をいい、単純労働の業務は含まれません

例えば、コンピュータープログラマー、ソフトウェアエンジニア、土木・建築における研究開発や設計などの業務です。

 

本邦の公私の機関との契約とは

「本邦の公私の機関」とは、国、地方公共団体、民間会社、公益法人、組合などだけではなく、個人事業所や、日本に事業所を有する外国法人なども含まれます。

※ただし、個人事業所の場合は下に説明している機関の事業の適正性・安定性・継続性が否定されることが多いです。

「契約」とは、雇用契約だけではなく業務委託契約や派遣契約も含まれますが、短期間の契約ではなく継続的な契約である必要があります。

 

機関の事業の適正性・安定性・継続性

国公立の機関以外の機関(会社など)との契約に基づいて業務に従事する場合は、その機関の事業が適正に行われるものであり、かつ、安定性・継続性が認められることが必要です。

適正性とは、会社などが必要とされている許認可をきちんと取得していることや、事業で違法な行為や不正な行為を行こなっていないことなど、法律を守っていることが必要だということです。

また、安定性・継続性とは会社などが安定して継続して事業を行っていけるだけの状態でなければならないということです。
これは会社の売上や利益、組織形態、従業員数、設立年度などから判断されます。

 

まとめ

  • 「人文知識」の活動とは、広く人文科学の分野に属する知識を必要とする単純労働ではない業務です。
  • 「国際業務」の活動とは外国の文化に基づく思考や感受性を必要とする業務で、一定水準以上の専門的能力を必要とする業務です。
  • 「技術」の活動とは、自然科学の分野の技術や知識を必要とする単純労働ではない一定水準以上の業務です。
  • 「技術・人文知識・国際業務」は日本にある会社等の機関と、上記の業務を行うことについての継続的な契約に基づくものでなければなりません。
  • 外国人と契約をする日本の会社等は適正で安定性と継続性が認められることが必要です。