特定技能ビザができた背景

特定技能ビザが新設された背景は、一言でいうと企業の人手不足の解消です。特に中小企業の人手不足は分野によっては深刻な問題で、日本経済への影響が懸念されています。

ところが、今の日本の就労系ビザは基本的には外国人に高度な専門性が要求されていて、単純労働に関しては一部の例外を除いては基本的にビザが認められていませんでした。

そこで、今回の特定技能ビザによってある程度の専門性・技能をもっていて即戦力となる外国人を受け入れていくととにし、日本の人手不足解消を図っていくこととしたのです。

 

特定技能ビザの種類

特定技能ビザは1号と2号の2種類に分かれています。

特定技能ビザ1号

特定技能ビザ1号は、特定産業分野での相当程度の知識または経験を必要とする技能とある程度の日本語能力が求められるビザです。

1号特定技能外国人に求められる技能水準は、相当期間の実務経験等を必要とする技能であって、特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のものとされています。
日本語能力は、ある程度の日常会話ができつつ、分野ごとに業務上必要な日本語能力が求められます。
技能水準と日本語能力水準は試験等で確認することとされていますが、技能実習2号を良好に終了した外国人は試験を免除されます。

在留期間は1年、6か月又は4か月ごとの更新で、最長で上限5年までの滞在期間とされています。

なお、特定技能ビザ1号で後述する2号と違って、家族を日本に連れてくることはできません。

 

特定技能ビザ2号

特定技能ビザ2号は、当該分野での高い専門性や技能を必要とする熟練した技能が求められるビザです。2019年3月時点では、特定技能ビザ2号は「建設分野」と「造船・舶用工業分野」の2分野のみに限られています。

2号特定技能外国人に求められる技能水準は、長年の実務経験等によって身に付けた熟達した技能であって、例えば自らの判断により高度に専門的・技術的は業務を行うことができたり、監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を行うことができる程度の水準とされています。

この技能水準は試験等によって確認されます(分野によっては実務経験等の要件も必要)が、特定技能ビザ1号と違って、日本語能力水準は試験等での確認は不要とされています。

在留期間は3年、1年又は6か月ごとの更新が可能で、期間の上限はありません。

特定技能ビザ2号では、一定の要件を満たせば家族(配偶者や子)を呼び寄せることが可能です。

 

受入分野

受入分野(特定産業分野)は14分野で、具体的な業務例は以下のとおりです。

特定産業分野 1号特定外国人が従事する具体的業務内容の例
介護業 利用者の身体介護等及びそれに関連する業務
ビルクリーニング業 建築物(住宅を除く)内部の清掃作業を行い、建築物に存在する環境上の汚染物質を排除し、清潔さを維持する業務
素形材産業 鋳造、金属プレス加工、溶接といった鉄素形材などの製造業務及び金属熱処理業務等
産業機械製造業 機械刃物やボルト、ナット、業務用機械器具などの製造業務
電気・電子情報関連産業 電子部品、電気機械器具、情報通信機械器具などの製造業務
建設業 型枠施工、土木、左官、鉄筋施工などの建築業務
造船・舶用工業 溶接、塗装、鉄工、仕上、機械加工などの業務
自動車整備業 自動車の点検整備、解体整備の業務
航空業 空港グランドハンドリング、航空機整備の業務
宿泊業 フロント、企画、広報、接客などの業務
農業 耕種農業、畜産農業
漁業 水産動植物の探索や採捕、養殖業など
飲食料品製造業 飲食料品(酒類を除く)の製造・加工・安全衛生の業務
外食業 飲食物調理、接客、店舗管理などの業務

 

受入れ機関の責務

法令の遵守

特定技能外国人の受入れ機関は、出入国管理関係の法令、労働関係の法令、社会保険関係の法令、租税関係の法令等を遵守しなければなりません。
また、特定技能外国人の安定的かつ円滑な在留活動を確保する責務があります。

  • 受入れ機関と外国人との雇用契約(特定技能雇用契約)は、外国人の報酬額が日本人と同等額以上であることなどといった適切なものでなければなりません。
  • 受入れ後は受入れ状況等について、出入国在留管理局への定期又は随時の届出が必要

外国人支援の実施

特定技能外国人の受入れ機関は、1号特定技能外国人が在留資格に基づく活動を安定的かつ円滑に行うことができるようにするための職業生活上、日常生活上、社会生活上の支援を実施しなければなりません。

  • 基準に適合した1号特定技能外国人支援計画の作成が必要←計画実施を登録支援機関に委託可能